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電話 イメージ

通信偉人伝

FILE2

3人の天才-火花を散らした”電話機”の発明-

世紀の大発明である電話が生まれたのは、1800年代の後半だ。新しい技術をめぐり特許の争いに発展することがあるが、電話の始まりも同じような状況だった。ベル、グレイ、エジソンの3人が、電話発明の栄誉と特許をめぐり、火花を散らしあったのだ。

(注) 電話の発明者については、2002年、アメリカ合衆国議会で、「イタリアのメウッチ(アントニオ・メウッチ)が最初に電話を発明した」と認めることが決議されました。
メウッチは、事務所と寝室の通話を目的に、1854年、電話の試作品を完成させたとされています。
(2010年7月9日追記)

電話を発明したベルとグレイ、そしてエジソン

図 ベルの電話の原理
ベルの電話の原理。振動板を介して声は振動に変換、電磁石は電気の波となって相手に伝わる。受信側も同じ機器を採用しており、電気の波を電磁石に流すと振動板が震えて音が出た。

電話の元となる機器を発明したのは、アメリカのシカゴで工場を営んでいたグレイ(イライシャ・グレイ)だ。このグレイは1874年に、電池をつないだ電磁石を手でなぞると音が発生するという実験を成功させた。
これを聞きつけたのが、ボストン大学のベル(グラハム・ベル)だ。ベルはグレイの実験をヒントに、独自の技術を加えて電話を完成させた。ベルの電話は、送信側では、振動板で受けた音声の波は電磁石を介して電気信号に変換。受信側では、電気信号の波を電磁石で振動に変換し振動板から音を出していた。
電話が完成した際、ベルは助手のワトソンに「ワトソン君、ちょっと来てくれたまえ」と話をした。これが世界で初めて電話を使った会話となった。
ベルはこの電話機に関して、1876年2月14日にアメリカの特許庁に特許を出願。同じ頃、グレイはベルに遅れることわずか2時間後、特許を出願した。わずかな差ではあるが、アメリカの制度では先に特許を出願したものを優先するため、電話機の特許はベルのものとなった。
電話機の特許はベルのものと認められたが、ベルは通信事業自体に興味はなく、前回のコラムに登場したモールスの電信会社ウェスタン・ユニオンに電話の特許を売ろうと交渉した。しかし、回答は「興味がない」とつれない返事。結局、1877年に自らボストンに電話会社を設立する。
同じ頃、白熱電球を代表に、蓄音機、電気鉄道などを発明した「発明王」エジソン(トーマス・エジソン)も、電話に関する発明を手がけていた。エジソンは、ベルやグレイよりも1か月も早く電話の特許を出願していたが、書類に不備があったため受理されなかった。書類に不備がなければ、電話機の特許はエジソンのものになっていただけに、残念な思いをしたことだろう。

ベルがエジソンの特許を侵害!? 訴訟の行方は

図 カーボンマイクの仕組み
エジソンが発明したカーボンマイクの仕組み。振動板と電磁石の間に炭素粒子を挟むことで、音質が向上した。

電話機に関する特許はベルのものとなったが、その後も発明だけではなく、特許や訴訟による争いが続いた。
電話の特許が認められなかったエジソンだったが、1877年に「カーボンマイク」を発明し特許を出願した。カーボンマイクは、ベルが発明した電話機に炭素粒子を加えたという改良であったが、これによりベルの電話機よりも格段に音質が向上した。
ベルの電話会社はというと、最初は新聞社にニュースを送るだけであったが、その便利さが世の中に知れ渡り徐々に拡大していった。
この状況を見て悔しい思いをしたのが、ウェスタン・ユニオンだ。1度はベルから売り込まれた電話特許の買い取りを断ったが、結局、エジソンが発明したカーボンマイクを採用した電話サービスを開始した。
さらにウェスタン・ユニオンは、ベルの電話会社がエジソンの発明したカーボンマイクの特許を侵害しているとして訴訟を起こしたが、1879年に和解が成立。和解の内容は、ウェスタン・ユニオンが保有している電話に関する特許や事業をベルの通信会社に譲渡。さらに、ウェスタン・ユニオンは電信を、ベルの通信会社は電話事業に専念するというものだ。
この和解はその後、両社の明暗を大きく分けることになる。ベルの電話会社は「AT&T」というアメリカを代表する電話会社となり、電話をはじめとする通信サービスをアメリカ全土で提供するほどに成長した。一方、ウェスタン・ユニオンは、一時期はアメリカ大陸を網羅する電信網を敷設するなど拡大していったものの、電信はそののち衰退していった。

隠れた電話の発明家ライス

このように電話の草創期には、ベル、グレイ、エジソンが特許をめぐり争った。しかし、彼らよりも15年も前に電話の基礎を発明していた天才がいた。ドイツの物理学者のライス(フィリップ・ライス)だ。
ライスは、1860年にスピーカーとマイク、電線を用いて通話が可能となる電話機を発明した。電線の両端に電磁石を設置し、人工鼓膜を振動させてお互いの声を伝えるという仕組みで、ライスはこの電話機にギリシャ語で「遠い声」を意味する「Telephone」(テレフォン)と名付けた。
ライスは、発明したこの電話機をドイツの物理協会で発表するものの、見向きもされなかった。その後も、ライスは電話機を世の中に認めてもらおうと改良などを進めたが、1874年にこの世を去る。ベルとグレイが電話の特許を申請したのは、ライスがこの世を去ってからわずか2年後のことであった。
ベル、グレイ、エジソンよりも15年も前に電話を発明していたライス。ベルたちのように電話を改良し、特許を出願して、世の中に認められ、電話会社を設立していれば、歴史に大きく名前を残していただろう。しかし、ライスが付けた「テレフォン」という名は現代にまで残っている。これも立派な功績だといえるだろう。

今回のキーワード

カーボンマイク
:エジソンが発明したマイク。炭素粒子は、かけられる圧力により抵抗値が変わるという性質がある。エジソンはこれに着目。振動板と電磁石の間に炭素粒子を挟み込むことで、マイクの性能を飛躍的に向上させた。
ベル研究所
:ベルの通信会社はAT&Tとなったのち、長距離通信部門と地域通信部門に分割されるなど紆余曲折があった。しかし、ベルの功績をたたえた「ベル研究所」は今も続いており、携帯電話や無線LANの基礎技術など多くの発明を世に残している。
電磁石
:1回目のコラムにも登場した電磁石だが、電話の発明にも大きく関わっている。電信の時代は電気が流れているか流れていないかを確認するだけだった。電話の時代では、電気の波を音に変換する、またはその逆を行うという重要な役割を担った。

次回予告
マルコーニ〜航海を支えた無線通信〜
19世紀の終盤、ヘルツとマルコーニの活躍により誕生した無線技術。すでに陸の上では有線通信が広がっていたため、マルコーニがいたイタリアでは見向きもされなかった。しかし、この無線技術を誰よりも手にしたかった国があった。

次回予告イメージ 本

参考資料:
小学館 『日本大百科全書』『デジタル大辞泉』
文芸社 『知は力か』
コロナ社 『電気情報通信レクチャーシリーズA-2 電子情報通信技術史 主に日本を中心としたマイルストーン』
筆者プロフィール
安達崇徳(あだちたかのり)
フリーライター。エンジニア時代は、LinuxやRubyなどを用いて業務システムを構築。IT系雑誌に転職してからは、ブロードバンドを普及させようという思いで、ISPの料金表やインターネット接続図の編集を担当した。Webニュースに異動してからも、Wi-Fi、3G、LTE、WiMAXなど、移動や固定にとらわれずネットワークの市場や技術に関して動向を追い、今に至っている。

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