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宮城県気仙沼市様

多様なメディアと連動しワンオペレーションで配信
災害時の住民への情報伝達手段の確立を目指す

宮城県気仙沼市様

導入の背景

東日本大震災の経験を踏まえ、市役所職員に負担をかけることなく、災害発生直後から多種多様なメディアを介して住民に確実に災害情報を届ける環境を整備したいと考えた。

選定のポイント

  • 多種多様な情報伝達手段にワンオペレーションで情報配信できる利便性
  • 新たな情報伝達手段にも的確な対応が図れるシステムの柔軟性
  • NTT東日本グループの技術力や営業・運用支援体制に対する信頼

期待される効果

  • 災害時における、住民への情報伝達手段の確保
  • 災害情報の適切な提供を通じた災害被害の軽減
  • 東日本大震災での教訓を盛り込んだ機能の拡充

選定ソリューション

多忙を極める状況下、災害情報を届けることの重要性を痛感

太平洋に面し、全国有数の水揚高を誇る港町として古くから栄えてきた、宮城県気仙沼市。2011年の東日本大震災では、海沿いに立地する造船・水産加工工場をはじめ、市全域が甚大な被害を受けました。市では2012年5月に「気仙沼市復興整備計画」を策定して、市役所職員をはじめ、住民も一体となって街の復興に取り組んでいます。

Twitter Twitter

1960年のチリ地震による津波をはじめとする過去の災害の教訓から、地域の防災意識も高く、被災状況や避難場所への誘導など住民が必要とする災害情報の伝達手段として、市では東日本大震災の発生以前から、防災行政無線や電子メールなどの住民が「受動的に情報を得られる手段」と、ホームページやTwitterなど情報がほしいときに「能動的に情報を得る手段」の両方を整備していました。しかし、実際に震災が発生すると、直後からさまざまな対応に追われてすべての職員が多忙を極め、さらに市全域で停電するといった状況の中、定期的な情報更新や複数手段での情報配信を行うことは、とても困難だったといいます。例えばビル屋上などに避難した住民に二次避難のタイミングを知らせるなど、状況に応じた災害情報を伝えることの重要性を改めて痛感。また情報を求める住民の要望も日増しに高まっていたことから、停電などの状況下における通信手段の確保も含め、住民への迅速かつ確実な情報伝達手段を早急に構築したいと、市では考えました。

そうした状況の中、2011年12月に「住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験」(総務省消防庁)の公募がありました。災害時における情報伝達の全国的な標準化を行うことを目的としているという事業趣旨が、被災経験を基にした情報伝達課題認識を全国に伝えたいという市の思いと合致したため、市は公募への提案を行い、2012年5月に実証実験対象自治体として採択されました。

NTT東日本は甚大な被害を受けた通信設備の早期復旧に努めるとともに、「地震発生の翌日から気仙沼市の役場などに寝泊まりして市の復旧をお手伝いしてきました」とNTT東日本の営業担当者も語る通り、気仙沼営業支店を筆頭に、社を挙げて市の復興を支援してきました。そうした震災からの復旧・復興に至る過程の中で、災害時における住民への情報伝達手段の確立を求めている市の取り組みを把握し、実証実験実現のためのシステム公募に対し、NTT東日本の「防災情報伝達制御システム」を中核としたソリューションによる提案を行いました。その提案内容は市の要望する仕様と合致したため、市とNTT東日本は災害時における住民への情報伝達手段の確立を目指すこととなりました。

ワンオペレーションで情報配信が可能な「防災情報伝達制御システム」

NTT東日本の「防災情報伝達制御システム」は、既存の防災行政無線、一部の自治体で導入が進むIP告知端末やデジタルサイネージ、携帯電話やスマートフォン、さらにはラジオや地上デジタル放送のデータ放送といった、自治体独自の情報伝達手段や公共メディアに対して、1つの端末操作で情報配信を可能にするシステムです。全国瞬時警報システム「J-ALERT」とも連携が図れ、自動配信による情報提供も可能です。

操作画面 操作画面

そうした多種多様なメディアに対応している上、システムの使い方は極めて簡単。自治体の防災情報センターなどに設置したパソコンから、定型文の音声ファイルを選択したり、文章を打ち込んだりするだけで、防災行政無線の屋外スピーカーからは災害情報の音声が流れ、家庭に設置したIP告知端末や街角のデジタルサイネージには音声や文字情報が配信されます。さらに、インターネット技術との親和性も高く、TwitterやFacebookなどの新たに登場するSNSメディアや、「公共情報コモンズ(*1)」にも柔軟に対応。NTT研究所のネットワーク制御技術を応用して開発されたシステムであり、現在では複数の自治体に導入されて実際に活用されています。

「災害発生時に真に役立つ情報伝達手段を整備するためには、まずいま手元にある伝達手段がどういったものかという整理を行い、誰に対して、またどんな場面に対して何を伝えるのか、そしてそのためには何が足りず、どのように補完していくのかを分析・検討することが欠かせません。NTT東日本では導入実績に基づくノウハウをもとに、メディアの選定も含めた一貫したサポートを通じて、災害時の情報伝達手段の整備をお手伝いすることができます」と、NTT東日本の担当者は導入に対する思いを語ります。

  • *1:公共情報コモンズ:一般財団法人マルチメディア振興センターの運営する、災害などの住民の安心・安全に関わる情報を迅速かつ効率的に伝達することを目的とした新たな情報流通のための基盤。

NTT東日本 宮城支店 気仙沼営業支店 営業担当部長代理 菅原 正敏
NTT東日本 宮城支店
気仙沼営業支店
営業担当部長代理
菅原 正敏

NTT東日本 宮城支店 自治体復興支援室 地域SE支援担当 小菅 忍
NTT東日本 宮城支店
自治体復興支援室
地域SE支援担当
小菅 忍

具体的な災害想定に基づいた高い可用性・信頼性をもったシステムの実現

気仙沼市では、東日本大震災時の経験から、停電、浸水、通信環境の停止といった不測の事態にも耐えうる高い可用性・信頼性を持ったシステム化を構想しました。市役所が停電や浸水などで機能停止になる事態に備えた「システムサーバー類のデータセンターへのハウジング」、また市庁舎周辺の通信環境が途絶える事態に備えた「遠隔地からのリモートアクセスでの情報配信」を計画の中核としています。リモートアクセスでの情報配信については、不正に配信されることのないよう、セキュリティ対策を二重三重に行っています。

さらに、東日本大震災では約1,000名の避難場所となり、寒さをしのぐ場所や食糧備蓄場所も備えるなど10年前から「避難ビル」として市が整備を進めてきた魚市場や、大勢の被災者が集まることの想定される市立病院に対し、災害情報を配信するデジタルサイネージを設置。通信経路についても、高所に設置した無線基地局を経由して、市役所からデジタルサイネージに情報を直接配信する方式を採用し、通信キャリアのサービスに依存しない、市独自の無線通信環境を構築しました。太陽光発電パネルを設置して最低でも2日間は情報配信できるなど、携帯電話やスマートフォンを持たない住民にも災害情報を提供する環境を確保しました。

IP告知端末(フレッツフォン) IP告知端末(フレッツフォン)

また、市役所から離れた場所に位置する本吉地域の防災情報提供システムとして、旧本吉町が2008年に公共施設や各世帯に設置したIP告知端末に対しても、本システムを用いて手軽に情報配信できる環境を構築。さらに、市の災害FM局からの全面協力を得て、放送中でも緊急時に災害情報を流せるようにしました。

「短い構築期間の中で、多種多様なメディアを統合するのは、機器の調整も含めて困難が伴いましたが、リモート経由のセキュリティ対策も含めて、緊急時に役立つ、高信頼な環境を構築できたと自負しています」と、NTT東日本の担当者も振り返ります。

大規模な実証実験を通じて、情報伝達手段の統合に確かな手応え

実証実験模様 実証実験模様

今回の気仙沼市への「防災情報伝達制御システム」は、「住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験」(総務省消防庁)の一環として実現したシステム。そして、災害情報伝達訓練という位置付けのもと、システムの有効性を検証する実証実験「気仙沼市災害情報システム配信実験」が2013年2月に行われました。

実証実験では東日本大震災と同等の災害を想定、通信障害の発生など複数のケースを設定して、無線経由での情報配信や市外からの災害情報伝達訓練を実施しました。システムのデモ環境を構築した市役所内の実験会場では、市の担当者が端末からワンオペレーションで情報配信の操作を行うと、ほんの数秒で通信ネットワークを介してデモ機に情報が表示されました。また、音楽を流していたFMラジオから訓練の試験放送が流れたり、会場に居合わせた参加者の携帯電話やスマートフォンも一斉に鳴り出し、緊急速報メールを受信したりと、システムの有効性をじかに体験する機会となりました。今後は、市内事業所や漁協、仮設住宅、市内学校でアンケートを行うなど検証作業を進めつつ、システム改善や他の情報伝達手段の統合なども図っていく考えです。

なお、今回の実証実験に関して、気仙沼市の事例は【郊外型】×【沿岸部型】の情報伝達モデルですが、そのほかにNTT東日本では、【都市型】×【繁華街型】モデルとして東京都豊島区や、同様な【郊外型】×【沿岸部型】として大規模災害の発生直後から住民に避難を積極的に呼びかける千葉県旭市での実証実験などにも参画。複数の自治体と共同で、災害時の情報伝達手段の確立を目指しています。

気仙沼市では、今後はシステムの“普段使い”を通じて、運用面も含めたシステムの普及・浸透を目指すといいます。例えば、導入したデジタルサイネージについて、震災で大きく地盤沈下した沿岸部の住民に必要な潮位情報や、防災以外の観光情報などの発信といった用途への利用促進を図っていきます。「今回、防災行政無線を補完するものとして、デジタルサイネージやコミュニティFMへの情報配信という新たな試みが実現しました。今後もあらゆる情報伝達手段の統合を図ることで、住民に迅速かつ確実に災害情報を届けるシステムの実現を支援したい」と、NTT東日本の担当者は語ります。街の復興に全力で取り組み、災害時の有効な情報配信手段の確立を目指す気仙沼市を、NTT東日本は先進のシステムと確かな技術力でさまざまな角度から支えていきます。

「気仙沼市災害情報伝達制御システム」イメージ図 「気仙沼市災害情報伝達制御システム」イメージ図

  • 文中記載の会社名および製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
  • 文中記載の組織名・所属・役職・サービス名などはすべて2013年2月時点のものです。

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