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商船三井客船株式会社様

「便利」と「セキュリティー」は両立する。1枚の非接触ICカードに多様な機能を盛り込み大型クルーズ客船の安全・便利を実現

商船三井客船株式会社様

導入の背景

大型クルーズ客船「にっぽん丸」の大規模リニューアルに伴って、セキュリティーと顧客サービスの双方の向上を図りつつ、乗下船管理業務を効率化したいと考えた。

選定のポイント

  • タイトなスケジュールに対応し、確実にプロジェクトを遂行できる信頼性と実績
  • 複数ベンダーと連携して最適なシステム環境を構築できる実行力
  • 航海中など多様な環境でも安定稼働する信頼性の高いシステム構築力

期待される効果

  • 非接触ICカードシステム導入による顧客サービスの向上
  • 先進の乗下船管理システムによるセキュリティー向上と業務効率化
  • 航海中など運用保守が困難な環境における安定稼働の確保

選定ソリューション

「にっぽん丸」大規模リニューアルを機に求められた、より高度な安全性とサービス

オーシャンダイニング春日

オーシャンダイニング春日

近年、大型のクルーズ客船に乗ってゆったりと過ごす海の旅に注目が集まっています。「海に浮かぶホテル」とも称されるように、快適で多彩な設備を備えたクルーズ客船での移動は、飛行機での旅に比べて気圧や時差の影響が少ないなど、身体への負担が少なく、特に高齢者にやさしいのが特徴。長引く不況で旅行者全体の数に減少傾向が見られる中、クルーズ客船の利用者は、中高年層を中心に右上がりで増加しています。クルーズ客船の利用は海外でも盛んで、手ごろな料金で世界一周も可能な超大型船や、上質なサービスを提供する豪華客船など、さまざまな規模やタイプの客船が建造され、世界の大海原で就航しています。

商船三井客船の「にっぽん丸」は、日本のクルーズ客船のいわば「草分け」的存在として、日本船ならではの行き届いた上質なサービスを提供しています。料理、特に和食のおいしさには定評があり、この料理目当てのリピーターも少なくないとか。3代目となる現在の「にっぽん丸」が就航した1990年当時、大型客船の利用は、修学旅行や研修目的などの団体客が大半であり、そのため、同じ料金を払っていながら客室の設備や広さなどになるべく差が生じないよう、船内設備は均質化されていました。その後、個人客の増加に合わせて改装を重ねてきたものの、建造から20年を経た現在では、利用者の圧倒的多数が個人客となり、一人ひとりが「船旅」に求めるものが多様化してきて、さまざまなニーズに確実に対応するには、現在の設備では限界があるという認識をお持ちだったといいます。

そこで、よりグレードの高い船旅を船客に提供する「スモールアンドラグジュアリー」というコンセプトに基づき、2009年11月、「にっぽん丸」はこれまでにない大規模なリニューアルに乗り出すこととなったのです。

リニューアルのポイントの1つとして導入されることとなったのが、世界の客船で初めてとなる、非接触型ICカードを用いたキーシステムです。

「1枚のICカード」に多様な機能を持たせ、乗船客の利便性を向上

デラックスシングル

デラックスシングル

「にっぽん丸」リニューアルの目的は、増加する個人客に向けて、新しい旅のスタイルとしてクルーズを定着させること、一人客でも船の旅を楽しんでいただけるよう豊かなコミュニケーションの場を提供することにありました。そこで、クルーズ客船では異例ともいえる6室のシングルルームを新設するとともに、スパやフィットネスジムスペースを設け、展望ラウンジやいつでも軽食が提供できる食堂を増設するなど、パブリック・スペースの充実に力を入れたといいます。これらは、高齢者を含むさまざまな乗船客に、より気軽に快適にクルーズ客船を利用してもらうための取り組みであり、居住性を高めると同時にセキュリティーを向上させる今回の大改装において、ルームキーと乗船証とPOSを兼ねた非接触ICカードの採用は、最も重視された先進的な取り組みの1つでした。客室のカギを利用して船内での精算が行えるシステムは、他の客船でもすでに導入されていますが、非接触ICカードの採用は、客船では世界初となる試み。首からかけたカードホルダーからいちいち取り出して差込口に挿入しなくても、JR東日本の「Suica」などと同様、カードリーダーに「ピッ」とかざすだけで乗船手続きや解錠が行えることから、利用者にとってより便利で快適な使い心地を実現しています。

システムの導入工事は、大規模リニューアルに伴う複数の改修作業と並行して行う必要がありました。既存の客室ドアや船内の要所にカードキー用の機器を設置して配線作業を行い、スムーズにシステム構築を行って、リニューアル完了後の2010年3月に予定されているお披露目を兼ねたテスト航海に間に合わせるには、相当の困難が予想されました。テスト航海後の運行スケジュールもすでに決まっていたことから、納期の厳守、確実なシステム導入と安定稼働が求められたのです。

そして、そのような厳しい条件において確実にシステム導入を遂行できるパートナーとして、商船三井客船が選んだのが、NTT東日本でした。

NTT東日本 ビジネス&オフィス事業推進本部 ビジネス営業部 産業ビジネス部門 営業担当課長代理 佐藤 紀子 NTT東日本 ビジネス&オフィス事業推進本部
ビジネス営業部 産業ビジネス部門
営業担当課長代理
佐藤 紀子

NTT東日本 ビジネス&オフィス事業推進本部 ソリューションエンジニアリング部 SE部門 第3SE担当 田村 朋子 NTT東日本 ビジネス&オフィス事業推進本部
ソリューションエンジニアリング部 SE部門
第3SE担当
田村 朋子

マルチベンダーNTT東日本が可能にした、優良ベンダー選抜のトータルソリューション

ICカードリーダー(スイート階入り口)

ICカードリーダー(スイート階入り口)

「にっぽん丸」ではこれまで、客室ドアには昔ながらの金属製のキーを用いていました。寄港地などで乗船客が下船される際には、ホテルと同様にキーをフロントに預けていただき、キーをフロントが預かっていれば下船中、そうでなければ乗船中というように、キーの有無で乗下船管理を行っていました。しかし、寄港地に係留した際に、一部の乗船客がうっかりキーを持ったまま下船してしまわれたり、乗船後、キーを受け取らないまま船内施設を利用されていたりと、すべての乗船客の乗下船状況を正確に把握するには、必ずしも適切な方法とは言えなくなってきていました。時には出航間際になって、クルーが船内を探しまわって乗船客の乗船を確認する作業に追われる事態も発生。乗下船管理の徹底や効率化が急務となっていたのです。非接触ICカードによるルームキーは、キー自体がかさばらない上に、いちいちカードケースから出し入れしなくても、カードリーダーにかざすだけで利用できるなど、乗船客にとっても高い利便性を提供するのみならず、乗下船管理やセキュリティー対策の観点からも効果が期待されていました。

ICカードリーダー(ドア)

ICカードリーダー(ドア)

また、海外の一部の寄港地では、上陸の際に顔写真入りの証明書の提示が義務づけられています。そのため、乗船証を兼ねたICカードに乗船客の顔写真を印刷することで、身分証明書としての効力も併せ持つ機能を備え、これに対応して船上でICカードに顔写真を印刷できる環境も用意する必要がありました。

非接触ICカードシステムの導入実績を持つNTT東日本では、そうしたお客さまのさまざまなご要望に対応するシステムの実現に向け、検討作業を開始。非接触ICカードシステムを中心に、効率的な乗下船管理システムやICカード発行システムをスムーズに連携させるため、入退室管理システムやホテルカードロックシステムを手がけるベンダーに協力を依頼。トータルな非接触ICカードシステムの導入に向けて動き出しました。

ニーズにきめ細かく対応し、緊密なデータ連携を可能に。

乗下船管理システムの画面

乗下船管理システムの画面

「にっぽん丸」は総トン数約22,500トンと、現代のクルーズ客船としては中規模の大きさですが、収容できる乗船客数は最大で500名を超えます。乗下船管理システムには、その乗船客一人ひとりに対して、乗船中なのか、寄港地で下船して観光しているのかといったことをきめ細かに把握することが求められました。例えば、長期間のクルーズでは乗船客が乗下船する港も異なります。同室のご夫婦でも、お仕事の都合で妻と夫が別な港から乗船したり、逆に途中の寄港地で別々に下船したりといったケースも発生します。船はホテルと違って移動しており、海外へ航海する際の日本との時差などの情報も、システム側で表示する必要があり、通常のホテルの宿泊管理システムなどと比較しても、はるかに複雑な管理を行うことが必要とされます。

さらに、乗下船管理の基礎である乗船客の情報については、「乗客名簿」などを管理する既存の乗船客情報データベースとの連携も求められました。そこでNTT東日本では、既存の乗船客情報データベースの構築ベンダーの協力を得て、各ベンダーとともに、ソフトウェアのみならず、ハードウェア等の詳細なカスタマイズ作業を行い、あらゆるケースを想定して万全な対応が可能な乗下船管理システムを構築したのです。

「データ連携は膨大な量に及びました。これだけ緊密に顧客データベースと複数のシステムを連携した事例は、他に類を見ないほどです。きめ細かな乗下船管理を可能とする優れたシステムになったと自負しています。構築には苦労が伴いましたが、ベンダー各社の協力を得て、ご要望にかなうシステムを構築できました」(田村)

こうして、乗船客一人ひとりの詳細情報が把握できるのに加え、乗船/下船/上陸/未乗船といった乗下船ステータスの表示、乗船客情報データベースと連動した航海名や世界中の寄港地名の表示および現地時刻表示も行えるなど、きめ細かな乗下船管理が一目でできる環境が実現することとなりました。

システム構成図

厳しいスケジュールの下、安定性・信頼性の高いシステムを構築

ICカード発行システム

ICカード発行システム

「にっぽん丸」がいったん出航して洋上に出てしまえば、運用保守作業を行うのは不可能に近いことから、導入するシステムには高い安定性と信頼性が求められます。そこで、主要機器には予備機を用意、船内ネットワークも二重化し、システムの冗長化を図りました。また、NTT東日本が構築するシステムと既存の乗船客情報データベースの連携を図るために、連携サーバーは、船の振動を吸収する装置を装備したラックに設置し、可能な限り安定した環境を維持していただくなど、信頼性を確保するためのさまざまな対策をアドバイスしました。

「にっぽん丸」がドック入りして、改装作業がスタートしたのは2009年11月でしたが、NTT東日本が船内作業に取りかかれるのは、年末からの改装作業のわずかな合間しかありませんでした。そこで、船内での作業に先駆けて、実際にシステムを組んで動作確認を行う陸上試験を2009年10月から実施。安定稼働に向けた詳細な検証作業を重ねた上で、本番の船内作業に臨むこととしました。

「与えられた時間は極めて限られていましたが、これまでさまざまなシステム構築で培ってきた経験やノウハウを生かして、作業に臨みました。改装中の船はビルの建設現場のようで、強い海風が吹きつける中での作業は苦労の多いものでしたが、お客さまのご協力を得て、無事、システム構築を完了することができました」(田村)

2007年に実施した最初の提案から約3年半という期間を経て、システム構築は当初の予定通りに完了。2010年3月に、ホテルカードロックシステムと乗下船管理システム、ICカード発行システムは稼働開始しました。

NTT東日本のお客さまへの熱い思いが、今、大海原を越えて発進!

監視カメラ

監視カメラ

世界初の非接触ICカードを用いたシステムや、先進の乗下船管理システムによって、高い利便性とセキュリティーを両立、多岐にわたる設備の大改装を果たした新生「にっぽん丸」は、こうしてリニューアル・デビューを果たしました。

乗船証とルームキーを兼ねた非接触ICカードは、チェックイン手続きの際に乗船客に手渡されます。乗下船時には、船の玄関である舷門でクルーが乗船客から受け取ってカードリーダーに「ピッ」とかざせば、乗船手続きはただちに完了します。また、船内の買い物や飲食の際にも、このカードで精算ができます。

なお、非接触ICカードによる各システムのほか、NTT東日本では、船の出入口や操舵室などに設置する監視カメラシステムも導入し、セキュリティー確保に貢献しています。デッキに設けられた監視カメラは、航行時には風圧で飛ばされないよう格納される仕組みとなっています。

「何がなんでもすべてをシステム化する、というわけではなく、人手を介したヒューマン・サービスも残したいという観点からも、ある部分は運用でカバーする、とのお言葉をいただくなど、商船三井客船様のご理解と協力を得て、多岐にわたるシステムを短期間で構築できました。クルーズ客船へのシステム導入という、ある意味特殊な環境において貴重な経験をさせていただきました。ここで得られたノウハウを、今後は、高い安全性と信頼性が求められるさまざまな環境におけるシステム構築にも役立てたいと考えています」(佐藤)

リニューアル直後の2010年3月に行われたテスト航海を無事に完了して、同年5月には改装後初外航となる51日間の太平洋一周ロングクルーズに出航した「にっぽん丸」。非接触ICカードによるキーシステムや乗下船管理システムも初めての長期航海でしたが、ノントラブルの安定稼働で、無事航海を終えることができました。

新しい旅のスタイルとしてクルーズ客船の利用拡大を目指す商船三井客船。NTT東日本では、これからも先進的なシステムの提案などを通じて、快適な海の旅に貢献したいと考えています。

  • 文中記載の会社名および製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
  • 文中記載の組織名・所属・役職・サービス名などはすべて2010年5月10日時点のものです。

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